NHK日曜美術館 比嘉康雄 メモ

今回の写真展のために引き延ばして現像する時に
実際の比嘉の現像と比べる

 比嘉の写真の特徴はベタグロ
「ウタキ」神が降りるとされる場所でとる写真


比嘉康雄はフィリピン生まれ
父は戦死、母は若くして病死。
祖母に育てられ、警察官になる。
嘉手納警察署に勤めるが、取り締まる矛盾に葛藤する。
11年勤めて警察をやめ、報道カメラマンの道に進む。
報道カメラマンとして「東京のカメラマンと同じ物をとっていていいのか」という疑問がわく。


報道の写真をとっていたはずが反対を向き、デモに参加する人をとる。
一般の人をとる。1人の「人」を思わせる写真。
だんだんと日常の沖縄に目を向けるようになる。


1972年に沖縄が日本に復帰する。
沖縄のように、疎外されたような土地を稚内から順番に旅する。
100冊に及ぶ取材ノートは、旅の傍らで自分の考えを綴ったものだ。
富山での記録では、「写真のテーマ」についての悩みがしるされていた。
社会性のあるテーマの方が、人に注目されるかもしれないし
他のひとたちにとってはその方が意味があるかもしれないが、
事件に注目すると言うことに疑問を持っていた。
写真は「ぼくの純粋な思考の結果にこそあると思っている。」


沖縄の独自の信仰があり、
聖地はセーファウタキ。その東側から1つの島が見渡せる。久高島。


この島には、この島で生まれ育った者同士で結婚すると、
結婚した女のうち30歳以上は皆巫女になるという教えがある。
12年に一度行われる久高島最大のお祭り、イザイホー。


ヒライ荘の主人は比嘉の印象をこのように語った。
他のカメラマンとちがってパシャパシャとったりしなかった。
周りに気を使っていて、写真をとることに慎重だった。


まつりには女しか入る事が許されない場所がある。
代表の西銘シズさんは比嘉さんに近寄って、そこにはいってもいいと伝えた。
そして、来年でこの祭りは最後になると伝えた。
600年以上続いたお祭りの終わり。


比嘉さんは祭りのすべてを記録するつもりはなく、
「祭りの本質とはなんだろう?」それをとらえたいと思っていた。
そして見つけた場面が、
新しく巫女になる女性のために、その女の家の仏壇の灰を運んでいるシーンだった。
自分の祖母の霊を受け継ぎ、ご先祖と繋がることに本質があると比嘉さんは思った。
島の魂の伝承者。祭りによって祖先の魂と繋がる。


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感想 黒っぽくプリントすることで浮かぶ白が印象に強く残った。
それは、女の装束と雲間からの強い光だった。白が神。