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元から帰る場所なんてない。けれども、人がどこか遠くへ行きたいと望むことがあるのは、おさまる場所を探したいという欲求があるからだろう。今ある場所から離れたいという欲求は、きっとそうゆうことなのだ。



求める場所があるとするなら、それは土地ではなく空気だ。空気を人は探している。ただ、そんな空気の場所がもとから用意されているのではない。自分で決めるのだ。もしくは、作りだしたりする。



感覚のナイフでやわらかい空気を削ぎ取っていけば、そこがあなたの場所になっていくだろう。削ぎ取った分、あなたの呼吸で場所が膨らんでゆくのだ。あなたの感覚のナイフを研ぎすませ。しっている?何が好きか。どの部分が好きか。なぜ好きか。何が気持ちがよくて、何に惹き付けられるのか。



目に見えるものを重視しやすい風潮のせいか、感覚と言う目に見えないものが、ないがしろにされているような気がするのだ、時々、私は。感覚や、思考といった、目に見えないものが不思議で不思議で仕方がない、今でも、私は。けれど、そのことを話して、おいおいという顔をされることがある、まるで解り顔の大人から話に取り合ってもらえない、幼稚園児に戻ったような気分になるのだ。



この、どうしようもない、何の主張かもわからない、もやもやとした気持ちを、どこかにいる、同じくこどもの感覚を保持している誰かに、送ろう。ブログのボトルに入れてネットの海に流そう。(届きますように)