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雪が積もったよ。


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こどもがサクサクと雪を踏みしめている。
足の裏に伝わる感覚を楽しんで遊びながら、
母親が戻ってくるのを待っている。




師走はあまりに目まぐるしくて、無くしたものに後から気づく。
気がついたときにはもう、どこに落としたのかわからない。
ほかの誰かが、誰のものかもわからない、話の一部をひろった。




地下鉄を待つおじさん同士の距離も心なしか近くて
寒さには、人と人の距離を近づける性質があると知る。
彼らは小声でたわいもない話しをしながら笑っている。
今年一年を振り返ったりしながら。



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寒さは静けさを呼ぶ。
静けさが街を包む、雪が家の屋根に積もる。
静けさは私たちを取り巻いている、この街を守っている。