髪を切った日。

今日髪を切りにいったよ。先輩がお気に入りの美容室だって聴いて場所を調べたら、以前から通る度にいいなぁと思っていたあの素敵な建物でした。嬉しい。午前中に予約の電話を入れる。これぐらいがいいなぁと思っていた時間をあちらから提案されて風をつかんだようなよい予感。今日のうちに切ることに。夕方、五時半。


自転車で到着したのはちょうど10分前だった。夏らしくドアが開かれている。ふみこんであいさつ、名乗りながら不思議な気持ちになった。初めてなのにまるで好きな場所に帰ってきて迎えられたような感じ。まったくはじめてとは思えなかった。なぜかな。迎えてくれた2人のおねえさんとお店の雰囲気にゆるやかなあたたかさがあった。


案内されたソファーにかける。ぽんわりした気配がすると思ったらぬいぐるみのような犬だった。黒いパグで日の当たる窓際のソファーの上で心地良さげに眠っていたみたい。細目でちらとこちらを見て目を閉じた。かわいい・・・!担当してくれる美容師さんが来てくれた。今風に言うとイケメンお兄さんに間違いないのだが、なんていうか、ひなたの苔みたいにあたたかで穏やかな感じの方だった。髪型は相談して鎖骨くらいまでのびた髪を襟足辺りまで切ることにした。


美容室で何かと気を使ってしまう方だけれど、ここではまったくそうはならなかった。髪を洗ってもらう時に、美容師さんの手に自分のあたまの重みを安心して全て任せていることに気がついた時、とってもうれしかった。


後半、いぬの話を聴かせてもらう。そのあと、お兄さんが抱いて連れてきて、膝に乗せてくれた。大人しくて人懐っこいらしい、左手の指をペロペロなめられてくすぐったくてかわいくて、笑っちゃった。背を撫でると、すこし固い短い毛だった。全粒粉のクッキーみたい。膝に彼女(犬!)の重さとあたたかさを感じながら、どうぶつ、いのち、動いてるって思った。とても不思議だった。あたたかくてやわらかい。しっぽをたらんとたらしてググググーと寝息(?)をたてる姿にはまんまととりこになりました。


のんびりとした優しい時間だった。髪型も、とても気に入りました。なのに、はやく髪がのびないかなって思うのははじめてです。(のびないと来られないからね!)わたしも先輩のように、このお店がとてもきにいっちゃったみたいです。


きもちも軽くなってさようならをして、外に出ると夏の淡いゆうぐれいろに、細い月が浮かんでいました。