夏にノートの事を考えていたら冬に行き着いた。

ノート、のおと、の音。


夏はにぎやかだね。だから冬を思ってるのか。真冬は虫の声も草花の揺れる音も雨もない上に、空気まで凍ってしまうから耳に伝わる振動が少ないという意味でとても静かだ。


けれど全身を澄ましてみる。すると気がつく。星月はキンっときらめくし、雪の作りだす静けさが聞こえる。日照時間の短い太陽の光は、強く、優しく、強弱を持って世界中を照らし出す。日中にはコートを着込んだ人々の足音、白くなって形を現す吐いた息、赤くなったほっぺ、雪ではしゃぐこどもたちの声。


冬が恋しい。しかし夏も好きだ。四季のハッキリしたこの街が好きだ。私はよくばりだ。


そうして書き出しながら、気がついたけれど、私は冬に冷たい、というイメージを持っていないようだ。(現実は凍えるほど寒いし、冷たいなんてもんじゃないのに!)


冬を恋ながら、夏を楽しもう。そうノートに書いて閉じた。