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その日の夜空が灰色だったことは
空を見上げた人の目には明らかでした。


夜の雲は街灯りに照らされて、灰、オレンジ、ピンクと色付きます。
田舎とは逆で都会の夜は、曇った方が明るいです。


すこしの想像力があるならば、
雲の上には星空が広がっていることもわかります。


空も、何も、いつも同じものはありません。
けれども、いつも同じと思いはじめたなら、
その人にとってはいつも同じことになる気がします。


とらえたことが現実で。


目を向けて見えるものをとらえ、
目に見えない部分もとらえたなら、
その両方ともが現実ということになるのじゃないかな、と思います。